五竜岳に沈む夕日

平成二十八年九月十日から十三日まで写真展での最終のご案内と撤収作業に合わせ白馬五竜に滞在していました。
前もっての天候予報で天候は良くない事はわかっていましたが、もともと雨男ですから、諦めずに撮影準備はしていきます。

九月十一日、日没を迎えたアルプス平ではやはり雲だらけ。
ですが、時折見せる五竜岳の姿に撮影機会が得られることを祈りつつ・・・

五竜岳 ©重金一正

太陽は雲の周りにできる彩雲、雲によって乱れた荒々しい「光環」を伴って降りてゆきました。
雲の形状から環のようにはなっていないのですが、一様の薄い雲ならば綺麗な輪になっていたかもしれませんね。

大黒岳 ©重金一正

五竜岳G0峰あたりに沈んだ太陽の光は、大黒岳の周囲から光が漏れて水平に近い光線を放っていました。
光の向きによって薄明光線、その反対を反薄明光線と呼びますが、水平の場合はどちらになるのだろうか???

撮影地:遠見尾根、アルプス平(長野県北安曇郡白馬村神城)
撮影日:平成二十八年九月十一日

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遠見尾根へ山行(6) ~五竜山荘から下山~

平成二十八年四月二十五日、アルプス平から遠見尾根、五竜山荘を目指して入山しました。

つづき・・・

四月二十六日、大変お世話になった五竜山荘から下山です。
副支配人に「ヘリ呼ばなくていい?(笑)」などと冗談を言われながら下山開始。

白岳を下りますが、常に上から見下ろすようになります。滑落事故後の高度感に対する恐怖心の影響は大きく、腰が引けて手に持つピッケルが遊んでいます。

前日の登りで感じていましたが、こんなんじゃダメだ。

きっと他の人が見たら不格好で危なっかしい降り方に見えていたはずです。

とにかく足元だけでもしっかりと、滑らないよう、転ばないよう、アイゼンのツメを引っ掛けないよう、アイゼンの雪団子に注意しながら、一歩一歩慎重に…。

白岳を降りると、私が滑落した場所を再度通過します。

前日と同様、滑落した場所に近づき、見えてくると恐怖心(トラウマ)で心拍数が上がり苦しくなります。

滑落した谷側に寄らないよう、夏道より五竜岳側の雪の上を無事に通過しきって一安心。

西遠見山のなだらかなピークあたりで気分を落ち着かせるためゆっくり休憩しました。

※写真はクリック、またはタップすると大きく表示できます。

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西遠見山での休憩中、積雪に傾くオオシラビソ越しの五竜岩峰群

滑落現場を通過したことで、少し撮影していこうという気分にもなりました。

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この先も痩せた雪の不安定そうな場所がいくつもあるので、気を抜かないよう、ゆっくりゆっくり、足運びを丁寧に。

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下山の後半は痛みが出てしまいましたが、16時頃無事にアルプス平へ下山しました。
今回の山行で、膝の動きや筋力、体力不足、技術の低下、そして恐怖心・トラウマなど弱点を確認できたことで今後の課題が見えてきました。
そして、今後も遠見尾根へ登り、五竜岳の撮影を続けることへの道筋が見えたように思います。

滑落事故以来、応援してくださった多くの方々へ改めて心よりお礼申し上げます。

 

撮影地:遠見尾根・西遠見山付近
撮影日:平成二十八年四月二十六日

 

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遠見尾根へ山行(5) ~五竜山荘~

平成二十八年四月二十五日、アルプス平から遠見尾根、五竜山荘を目指して入山しました。

つづき・・・

四月二十六日朝の五竜山荘です。

冬は、西側の黒部側(富山県側)から季節風が吹き付け、東側(長野県側)には雪が屋根を隠すほどの吹き溜まりとなります。

しかし、黒部側は季節風が強く飛ばされてしまうため東側ほど雪は積もっていません。

山荘を閉めているときは補強しているそうですが(私が泊まった日もまだ食堂に補強がしてありました)、よくあの一方的な烈風に耐え、また一方的な雪の圧力に絶えられるものだと感心してしまうのです。

※写真はクリック、またはタップすると大きく表示できます。

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屋根の雪は、天日で雪を溶かして水にするためだと思います。

ああ、何度見ても好きな風景。心地よい風景。

何時間でもこのあたりでぼーっとしていたい…

来れて良かった。登れてよかった…

 

そろそろ下山への出発です。

つづく・・・

撮影地:五竜山荘
撮影日:平成二十八年四月二十六日

 

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遠見尾根へ山行(4) ~五竜山荘から五竜岳を望む~

平成二十八年四月二十五日、アルプス平から遠見尾根、五竜山荘を目指して入山しました。

つづき・・・

翌朝は雲一つない青空で清々しい五竜岳の姿を拝むことができました。

しかし、朝なのに・・・

朝日は?朝焼けは???

実は・・・

前日の晩に、ちょっと(私にしては)飲み過ぎたようで、朝から少々頭が重く・・・

今回の山行は撮影にスイッチが入っていないこともあって、布団の中でぬくぬくと。

すっかりさっぱり寝過ごしました…(^_^;)

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※写真はクリック、またはタップすると大きく表示できます。

撮影地:五竜山荘
撮影日:平成二十八年四月二十六日

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遠見尾根へ山行(3) ~無事に五竜山荘へ~

平成二十八年四月二十五日、アルプス平から遠見尾根、五竜山荘を目指して入山しました。

つづき・・・

雷鳥さんに別れを告げて、白岳をトラバースしつつ五竜山荘へ登ってゆきます。

かなり時間はかかってしまいましたが、膝に痛みが出ることもなく無事に五竜山荘に到着できました。

※※写真はクリック、またはタップすると大きく表示できます。
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到着直後に撮影した五竜山荘と五竜岳(コンデジで撮影)

五竜山荘に到着すると、事故を起こした当時にご迷惑やご心配をおかけした副支配人さんをはじめ、現在の支配人さん、スタッフの方々が暖かく迎えてくださいました。

皆さんとお話して、また五竜岳、遠見尾根へ通おう、撮り続けよう。胸に熱くなるものを感じるのでした。

 

山をやめなくてよかった…

 

つづく・・・

撮影地:五竜山荘
撮影日:平成二十八年四月二十五日

 

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遠見尾根へ山行(2) ~あの場所で雷鳥に出会った~

平成二十八年四月二十五日、アルプス平から遠見尾根、五竜山荘を目指して入山しました。

つづき・・・

小遠見山をあとにし、中遠見、大遠見を超えてゆきますが、痩せ尾根部分では所々で夏道が出ており、中途半端な積雪により、シュルンドやクレバス状のひび割れがあり、それらが隠れている場合もありますし、前登者が付けた古いトレースは、雪解けにより危険な状態になっていることもあるため、慎重にルートファインディングしながら進みました。

西遠見山を超えると、いよいよ白岳と西遠見との鞍部。私が滑落した場所です。

※写真はクリック、またはタップすると大きく表示できます。
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滑落した場所に近づき、見えてくると恐怖心(トラウマ)で心拍数が上がり苦しくなりましたが、雪があるおかげで西側(五竜岳側)を通り、落ちた谷を覗くことなく通過できたのは精神的に助かりました。

滑落現場を通過中に「グェーー!」雷鳥さんの声!

現場を通過しきった場所には冬毛の雷鳥さん(♀)がいました。

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偶然だろうとはいえ、なぜここに・・・?

私が滑落事故現場を通過するのを見守ってくれているような…。
不思議な因縁を感じてしまいます。

雷鳥が「神の鳥」と言われることに納得してしまうような出来事でした。

滑落現場を通過し、雷鳥さんに出会えたことで気分的に落ち着き、白岳、五竜山荘へ目を向けます。
白岳へは頂上へ向かうのではなく、シラダケ沢側を五竜山荘へ向かってのトラバースルートを登ってゆきます。

 

つづく・・・

 

撮影地:遠見尾根、白岳~西遠見山鞍部(長野県北安曇郡白馬村神城)
撮影日:平成二十八年四月二十五日

 

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遠見尾根へ山行(1) ~小遠見山へ~

平成二十五年十月四日の滑落事故、負傷した左膝の手術以来、山への復帰を目指してリハビリやトレーニングしてきましたが、 今の時期は雪があり夏山に比べると膝への負担が少ないため、四月二十五日、アルプス平から遠見尾根、五竜山荘を目指して入山しました。

今の状態でどこまで登れるのか、再起できる状態なのか。。。

写真機は持ちますが撮影用の三脚は持たず、ビバーク装備にして軽量化しました。

就寝中、今でも滑落する夢を見て、起きてしまうことがありますし、白馬五竜スキー場の地蔵の頭へは何度も上がっていますが、その地蔵の頭でさえも上から見下ろすと恐怖心で心拍数があがり足が竦んでしまいます。

登りたいけど登りたくない。山は自分を受け入れてくれるだろうか…。怖い…。そんな感じ。

登山の安全祈願したし、登山届け出したし、「さて、行くか・・・」と、入山。

まずは小遠見山への道、好きで気に入っていた樹々達に「久しぶり~」と挨拶しながらゆっくり登りました。

痛み止めを飲んでいるためか、それとも飲まなくてもなのかわかりませんが、膝に違和感や痛みもありません。ただ、膝の動きはあまり良くないのと、明らかに心肺機能は低下していて、ペースがかなり遅いです。

二時間二十分かかって小遠見山へ到着。

この時点で、このペースでは五竜山荘までは苦しいなと思いつつ。

小遠見山から見る五竜岳の姿にしばらく見入り、自然と目が湿っぽくなるではないですか…。

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天候は安定、ビバークはできるので、少しでも五竜岳へ近づきたいと、先へ向かうことに。

つづく・・・

撮影地:遠見尾根小遠見山(長野県北安曇郡白馬村神城)
撮影日:平成二十八年四月二十五日

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